2009.07.10
プラス 何か
製作中のものに、ときどき 「いいねぇ、きれいだなぁ」 と
見とれることがある。
たとえば、引き出しがたくさん納まる構造を作る時。
たくさんの引き出しがきっちりと納まるべく、たくさんの枠を
正確に作る。
そこにきりりとした緊張感が生まれる。
だけど木という材料からは、自然素材であるが故のネジレや歪み
などの不均一でアンバランスな印象を無意識に与えられる。
不均一な素材で、寸分違わぬようなカタチを作ってみると、
その不思議なバランスに
「いいなぁ、これ」
と思わされる。
男性的な印象の樹種-たとえばオーク-を、女性的な形で仕上げてやると、
中性的で不思議な家具になったりもする。
その逆もまた然り。
そういう微妙なアンバランスが、面白味のある惹かれるモノを
生み出すひとつの要素になると思う。
パッと見ではわからない何か。
何故だか気になる雰囲気だったり、余白だったり、匂いを持つ
家具が生まれる。
図面を引いた時にはわからない場面。
現物を前にして、そんな瞬間に ニヤリ としていたりしています。
「あ」