エイジング
今日は通常業務ではない依頼について。
いわゆる裏原宿にある古着屋さんのスタンド看板の修理をさせて頂いています。
その看板は、オーナーさんがアメリカで買って来た道路工事などの
バリケードとして使われていた物を再利用していらっしゃるとの事です。
なるほど、良い感じに鉄には錆、木部には雨や日光による劣化が見られます。
鉄部分はそのままで、木部だけをうちで作り直すので、鉄のアンティーク感に
合うように新品の材木で作ったものをエイジング加工しています。
エイジング加工と言っても、ただ傷をつけて塗装をはがしてといった
単純なやり方だけではリアルなアンティークのパーツとは合いませんし、
何より実際にお客さんが使い始めてからの経年変化が汚らしくなっていって
しまいます。
やはり古びが風合いとして育って行くために、ちゃんとしたエイジングを
行いたいと思います。
前々から興味がある分野でもあるので、断片的な知識がそれなりに集まっています。
「正解」はまるで分からないのですが、そこが面白いところでもあります。
仕事として承っていることなので、結果を出さなければいけません。
単なる冒険ではありません。
「あ」
嘘っぽくない艶
オイルフィニッシュの家具は、最後の仕上げがとても楽しい作業です。
磨いてピカピカのツヤツヤにするのは訳ないのですが、お客さんは
シャビー感を求めていることもあるので、そこそこの艶で抑えます。
「あ」
夏の終わり
旅の本を読んでいたら、無性に遠出したくなりました。
旅行じゃなくて、「旅」と格好つけたいところです。
スーツケースじゃなくて、バックパックで。
夏が終わると、何故か遠い国に行きたくなります。
なんて夢想はさておき(笑)、工房と材木屋さんなどを往復の平凡な毎日です。
製作予定も木枯らし吹く頃まで埋まりました。
平凡な毎日ですが、薄紙を1枚1枚重ねるように大事に確実に、家具デザインや製作
の技術・経験を重ねていく毎日です。
劇的な変化や出来事なんて全くありませんが、だんだんと良い家具を作れるように
なってきた手応えを感じています。
そうあり続けたいです。
「あ」
ナラ
今月はナラ材のテーブルを4台、オーディオボードを1台の製作予定になっています。
ナラ材は虎斑(とらふ)と呼ばれるトラの縞のような模様が特徴的で硬く重く、
オイルフィニッシュに向いている樹種です。
硬さや重さは、確実に手触りで判ります。
手触りはスペックに表れない部分ですが、非常に大切な感覚です。
「その良さを説明して」と言われて困ることもあるのですが
言葉ではなくて出来上がった物で表現したり勝負できるところは、
口下手な人間にはありがたいところです。
「歌うたいのバラッド」みたいです。
写真は材の組み合わせを決めている工程です。
ここは時間を掛けたい部分です。
「あ」